フリーランスイラストレーターはなりたい人が非常に多い人気職である一方で、ほとんどの人が専業で食べていくには厳しい道程と言われています。イメージだけでいえばとてつもなく絵が上手いとなれそうという印象が強いですが、人それぞれ様々な道のりがあります。
人気のライトノベルの表紙やvTuberなどを手掛けるような神絵師だけではなく、世の中には様々な専業イラストレーターが存在します。
今回ご紹介する谷町クダリさんは「似顔絵イラストレーター」というジャンルでウェルカムボードや名刺などビジネスに使える似顔絵などを専門にされており、非常にユニークな活動をされているのでぜひご覧ください。
【この記事を書いた人】
フリーランス・クリエイターの駆け込み寺
株式会社クリエイティブユニバース
樫本祐輝(カッシー@strive)
1985年生まれ 岡山出身大阪在住 フリーランス歴14年&独立支援歴10年。Web制作会社→フリーランスWebデザイナー→ゲーム開発会社→マーケティング会社→NPO法人→フリーランス・クリエイター支援や法人向けコンサルティングで起業・法人化。UI/UXデザインや中小企業のDX支援を手掛ける。2012年よりフリーランスセミナーを大阪・東京にて開催。2013年から続く招待制クリエイターギルド「THE CREATIVE」(有料)。Adobeを始めとする様々な企業と共にクリエイター向け交流イベント「#クリエイター祭り」。家庭も大事にしずっと専業主婦の妻と3児のパパ。これまでお会いしてきたフリーランスは1,000人以上。詳しいプロフィールはコチラ
谷町クダリさんのプロフィール
谷町クダリ(たにまちくだり)
大阪市在住。
TVアニメ制作会社のアニメーターを経て、フリーのイラストレーターに。
アニメの原画や、版権ゲームイラストの制作経験を経て、幅広い絵柄やタッチに対応できるのが強み。2018年にアニメ・漫画イラスト専門の似顔絵オーダーサイトを開設。
2019年に個人をアニメキャラクターにする新しいサービス、『似顔絵Z』を立ち上げる。
いままでに似顔絵を描いた人物は100人以上(2020年現在)
ウェルカムボードやアイコンのような従来の似顔絵ニーズだけでなく、名刺や動画やプレゼンスライドなど、ビジネスに活用できる似顔絵を提供している。
座右の銘は「個性を誇れる世界をつくる」。
主な実績
・社会人サッカーチームFC淡路島 公式マスコットキャラクターデザイン
・『フィギュアスケート好きのためのフレーズ&単語帳』フィギュアスケート選手の挿絵
・『クリエイター200人祭り』登壇 など
HP:https://www.tanimatikudari.com
twitter:https://twitter.com/TanimatiKudari
facebook:https://www.facebook.com/kudari9/
Instagram:https://www.instagram.com/c_tanimati/
イラストレーターになったキッカケはなんですか?
早速ですが谷町クダリさんがイラストレーターになるまでを教えて下さい!最初はアニメーターされてたんですよね?
実は気がついたら、なんですよね…。
もともとアニメーターになりたかったわけではなかったです。
大学生のときは社会学部にいて、就職先はマスメディアにするつもりでした。
でも大学三年生のときに進路を考えたとき、イライラしそうだと思ったんです。
まさかのマスメディア。なににイライラしそうだったんですか?
だって世の中は、あれこれおかしいじゃないですか!
マスコミは大事だって伝えないと、世の中はバランスが取れないことばかりだと思ってたんですよ。でもきっと私は疲弊してしまうと思ったんです。
なのでこの問題に関わるのをやめようと思いだしたら、もう学部でやりたいことがなくなってしまったんです。
そこからイラストレーターになることを考えだしたと?w
思えば小学生の頃からずっと、イラストを描いてきたんですよね。
こっそり誰にも言わず、見せずに。きっと私は絵を描くことはやめられないし、社会人になっても絵を書き続けると思っていた。
それなら、絵を描く仕事をするのが幸せなんじゃないかと思ったんです。
その時にイラストレーターになろう、って初めて考えました。それであるイラストレーターさんの「イラストレーターになる方法」の本を読んだんです。
その方のイラストはゆるい系で、誰でもかけそうな雰囲気を感じるものだったので、なぜ食べていけるのか理由が知りたかったんです。
実際に読んで見ると、企業のパーティや飲みニケーション、営業などすべて私ができなさそうなことを実践していたんですよね。
当時は今ほどネットで仕事を取るのが一般的じゃなかったので、対面営業が多いのは仕方ないですね。
そうなんですよ。
めちゃくちゃ絵が上手い人だけがイラストの仕事をしているわけじゃなかった。
それと、世の中のすべての絵をイラストレーターが描いているわけじゃないってこともわかりました。
でも私はやっぱり絵を描く仕事しかやりたくないと思って、画力でご飯が食べれるようになりたいと。
その結果が「アニメーター」でした。
アニメ愛については語らないほうがいいですか?
それは、時間足りないかも……w
アニメーターは実質フリーランス。仕事の現実と限界
昔からアニメが大好きで、アニメのことなら一日中考えていられるぐらいでした。
世界名作劇場とか真面目な話のアニメでも、何度も頭で再生してしまうくらい、アニメの影響は大きかったです。
ただテレビでアニメーターの仕事特集はよく見ていて、儲からない仕事なんだとは薄々思っていました。
でも若さもあったし、お金のことを特に考えてなかったんですよ。
普通に暮らせるレベルのお金があればいいかなと。
それよりも自分が生き生きできる仕事がしたい、っていうのが最優先でした。
アニメーターになるために動き出したのは大学生の頃?
大学三年生のときですね。
それまで美術的な教育を受けてなかったので、神戸のアトリエでデッサンを学びながら、東京のアニメ専門学校に1年通いました。
そして学校を卒業して、アニメ会社に就職しました。
専門学校とアトリエの両方は大変ですね。アニメ会社にはどれくらい勤めましたか?
5、6年くらいは勤めてました。
20代の後半くらいまではアニメーターで、その後2〜3年で原画マンに立場があがりました。
主にアニメ作成、CMアニメなどの制作に携われるようになりましたね。
それからアニメーター辞めるきっかけは何だったんですか?
20代後半になって、自分に限界を感じはじめました。
原画を描ける枚数が1〜2年目くらいは伸びたんですけど、そこから伸びなくなったんです。
出来高制なので、単価的に最低でも50カットはこなさないと暮らせない。
頑張っても35枚くらいしかできなかったんです。寝食や生活を削ってもこれです。
なので当時は年金も払えませんでした。ものすごくジリ貧を感じて、自分には適正がないとか思い悩んだりもしました。
手が遅かったんです。アホほど手が早くないと、アニメーターとしては食べていけませんでした。
なのでアニメーターで10年以上続いている方は、本当に手が早くて絵が描ける人って言うのは間違いないですね。
アニメーターは実質フリーランスと言ってもいいですね。
そうそう。その時はフリーランスという自覚はなかったです。
福利厚生がなくて、私は社員なの?派遣なの?みたいな。
そういう区分けすらわからなかった、無知な状態でした。
将来を設計して選んだと言うより、ふわっとした気持ちで絵を描く仕事でお金をもらえるのが、ありがたいと思っていたんですね。
自分の絵といいますか、自分の画風で絵を描くことにこだわりはなかったですか?
自分の絵を描くことに、固執はしてませんでしたね。
この動いているカットは私の描いた部分だし、キャラクターに動きを吹き込んでいるのも私っていう感覚がありました。
自分の任された仕事がたくさんの人に見てもらえるので、そこに不満はありませんでしたね。
でも体調と精神、金銭的にもきつくなって、ついにガタがきてしまったんです。
少しの間仕事を休んだら、もう行けなくなっちゃったんです。
体力的にも精神的にも限界が来ていたんですね。
しばらく休業してから、退職しました。
3年くらいは東京で派遣やアルバイトをしていましたが、その間に自信ややりたいことを無くしていったように思います。
その時はあまり人にも会いたくなくて、専門学校時代の友人や職場の同僚とも仲は良かったですが、そういう人たちに会うこともしんどく感じる時期も続きました。
全然自分の気持ちが好転しないんですね。
流石に家族が心配してくれて、一旦リセットしようと実家に戻ることに決めました。
2年くらいは療養しながら、家業を手伝っていましたね。
ただ自分が社会と切れてしまっている状態に対して、これはイカンと感じ始めたんです。
でも就職するにしても、なにをしたらいいのかわからなかったんですよね。就職活動の経験もないようなものなので……。
ソーシャルゲームブーム到来。イラストレーターとして動き出す
一つの会社に長く勤めると、誰にでも起きる悩みですね。そこからどう好転していきましたか?
アニメーターを辞めた後、5年くらい絵を描いてなかったんです。
その頃、ソシャゲ・ウェブゲームが盛り上がった時代がきたんですよね。
家で仕事ができるというのが魅力で、メールのやりとりで連絡が完結して、自宅でイラストを描いて納品するっていう流れ。
ほぼアニメーターの頃とあまり環境は変わらなくて、ずっと絵を描いていられる仕事の仕方です。
おそらく会社に行くのが好きじゃないんでしょうね。
そういう仕事があると知ってから、デジタルであまり絵を描いたことがなかったので、FireAlpaca(ファイヤ アルパカ)やGIMP(ギンプ、ジンプ)などを、触るようにしました。
●FireAlpaca(ファイヤーアルパカ)
●GIMP(ギンプ、ジンプ)
イラストレーターは作業時間重視で、家で作業したい人は多いですよね・・・
それと同時期に、よくWeb小説を読んでたんですよ。
気に入った話があったら、勝手に挿絵を描いていたんですが、それだけじゃ満足できなくなって、小説の作者さんにこっそり送ってみたんです。
そしたら、これがなかなか喜んでくれまして。
それから作家さんたちと交流ができるようになって、そうしているうちに私はやっぱり絵を描くのが好きだと、改めて感じることができました。
小説を描いている作家さんは、挿絵とかいただくと嬉しいでしょうね!
アニメーターはもうやらないけど、アニメタッチやオタクタッチな絵でも需要があるんと。
ちょうどソシャゲブームが来ているのもあって、ちゃんとデジタル絵を描けるようになろうって思いました。
それで「SAI(サイ)」でイラストを描くようになりました。後に「CLIP STUDIO(クリスタ)」を買うんですけどね。
過去に描いた小説の挿絵をブラッシュアップして、ポートフォリオを作りました。
それをゲーム会社やマッチングサイトに登録して、いろんな会社に送りました。会社とパートナー登録をして、仕事をもらえるようになっていきました。
クラウドゲート、フロンティアワークス、トミーウォーカー、ベアトリックスなどですね。
他にはゲームをプレイしている人から仕事を貰ったりもしましたね。
●SAI(サイ)
●クラウドゲート
●フロンティアワークス
●トミーウォーカー
●ベアトリックス
フリーランスっぽい働き方になってきました!
ただ当時の仕事は、一番安いと500円とかいう世界で……。アイコン1点100円とか。
スマホゲームの仕事を貰えるようになってからは高くて30,000円とか、それ以外だと10,000円もいかない5,000円代の仕事ばかりしていました。
でも単価の高いゲームの仕事がほしい。
ゲームの仕事は、紹介案件以外にも公募案件もあるんです。
サンプル作品を出して、クオリティレベルで審査されて採用されたりしなかったりのスタイル。
でもサンプルを作っても、採用されないと仕事にならなくて。
クリエイター的には不平等というか不利な条件なんですけど、当時はこういう仕事しかないと思って苦しくてもサンプルを出していましたね。
そうしているうちに、月10万円くらい稼げるようになりました。
仕事をもらうより、取りにいってましたけど。
その段階でもフリーランスといえばフリーなんですけど、まだ家業の手伝いも続けながらゲームの下請けの仕事をしていました。
でもこれも、将来性がないなと。
3年くらいやってみて、まだイラストだけで食べていける状況にはなくて、自己満足で終わっているかもという雰囲気がありました。
ここにきてようやくいろいろな人に相談した結果、カッシーさんにご相談をするという流れがありますね。
たしかに、充実感はないですね…。似顔絵イラストを始められたのは?
似顔絵を始めたのは、ゲームの仕事をしているときにパソコンが壊れて、隣町の修理工さんを呼んだんですよ。
その人が私の描いたイラストを見て、とても褒めてくださって、自分の知り合いにぜひ紹介したいと言ってくれたんです。
それで修理屋さんの知り合いにイラストを紹介をしてもらえたんです。
その人から「似顔絵もできますか?」って問い合わせがあったんです。もともとアニメーターなので、こういう感じのタッチで似顔絵はできますか?という内容で。
めちゃくちゃ棚ぼたというか、予期しない場所での出会いですね。
たまたまそういう問い合わせをしてくださったのですが、かなり珍しいと思います。
「できるかわからないけどやってみよう」と引き受けたら、意外とできたんですよね。
なんかできそうだって、感じた部分もあったので、受けたというのもありますが。
そういうタイミングだったんですね。
自分からやり始めたと言うより、人に言われてやってみましょうって感じで
始まりましたね。
その方が、周りの人にとても積極的に私のこと勧めてくれたんです。
それから名刺の裏側に「頭文字D風の似顔絵を描いてください」とか、お祝いのイラストボードを描いてくださいというお話をいただけるようになったんです。
まさに最初は紹介から、という典型例!積極的に広めたくなるくらい満足していただけたおかげですね。
その当時は例えば名刺の裏側にイラストを頼むのって、芸能人やDJまど固い職業じゃない人達だと思っていたんです。
いわゆるかっちりした職業の士業や社労士の方から、頭文字D風のイラストを描いてほしいと言われるなんて思ってもみなかった。
だって名刺ですよ?ふざけてると思われないかなとか、私の方がびっくりの発見でした。
今までゲームやアニメ業界の枠の中でしか仕事がないと思っていたけど、そんなことはなかったんですよね。そういう絵でも大丈夫なんだと。
それが似顔絵の仕事が続いた理由だと思います。
「似顔絵Z」につながるニーズが分かったわけですね!
そんなこんなで、フリーランスになりましたね。結論、いつのまにかって感じです!
フリーランスの失敗談は?
ぱっと思いつく一番の失敗談は?
うーん。見積もりについては、いつもこれで正しいのかな?という気持ちです。
ただ目に見えた大きな失敗はやってないかも。スムーズというわけでもないですけれども。
では失敗ではなくて、嫌だったことはありますか?
嫌だったことでいうと、打ち合わせ段階の話でありますね。
TwitterのDMでやり取りをしていた仕事で、カット数がクライアントさまと私の間で認識が違ってたんです。
チャットのログが残ってて、内容は見てくれているから大丈夫だろうと思ったら、「これ頼んでないです」みたいな話で揉めてしまったことがありますね。
見積もりをしていなかったというより、やりとりの最中でなぁなぁになってしまった感じですか?
例えば『全身が◯点、カット◯点でよろしいですか?』と聞いたあとに、
相手側はそれに返事をせずに、「全身の仕様はこう、ポースはこうで〜」っていう内容を送ってくる方だったんです。
その内容で相違ない、っていう返信がないタイプ。
それが了承済みだと思って仕事を進めてしまい「いやそんなに頼んでないです」っていわれてしまったり。
自分の確認が不十分だったのか、相手が反応してくれるまで何回も聞かなきゃいけなかったんですよね。
でも当時は、それで分かってもらえてると思ってしまった。
イラストの納品は要望通りにできましたが、相手も不愉快な気持ちになったし、なかなかキツイ事も言われてしまい、落ち込んだこともありました。
ちゃんと白黒付けないと駄目だと。
それから見積もりは書面やPDFにしなきゃいけないって、学びましたね。
イラストレーターになってめっちゃ嬉しかったことは?
フリーランスになってから、嬉しかったことは?
名刺の話と似ていますが、お医者さんが主催する医療系セミナーで使うアニメ・マンガ風のイラストがほしいと言われたんです。
ただ私が心配だったのは、オーダー内容が、
「格闘マンガ風のイラストで、上半身が裸で内視鏡を構えてるみたいなイメージで。
医療界に革命を起こすような、業界がヒックリかえるインパクトあるイラストを描いてほしい!」
だったんですよ。
か、格闘マンガ風!?
やばいですよね?
びっくりしたけど、めちゃくちゃ喜んでいただけました。
喜んでいただけたことも嬉しかったのですが、世の中は変わってきてるんだと気づきましたね。
世界が私に寄ってきた、という手応えを感じてきました。こういう業界でもちゃんと通用するんだなと。
まさにその方は、私にとってイノベーターですね。
医療の業界では有名な方なので、そんな人からイラストを使いたいというニーズがあったことが、とても嬉しかったです。
アニメ・漫画が好きな人、決定権を持つ時代になってきた感はありますよね。
ありますあります!
今だったらゲームの勇者や、ドラクエに例えたシステムを取り入れた学習プログラムとか。
みんながアニメ・漫画を共通言語として受け入れやすくなっているんだなと。
いい時代になりましたね!
このフリラボもまさにそんな感じですし、いい時代になりましたね!
自分の描けるイラストが世の中にあってきたという手応えを感じ始めました。
そこから、自分の気持ちも好転していきましたね。
仕事の流儀。仕事をする上で大切にしていること
仕事をする上で谷町さんが大切していること、仕事の流儀を教えてください。
自分はアニメ・マンガ風イラストをメインにしているんですけど……。
似顔絵を描くにあたって、権利的にはギリギリなグレーところで戦ってるじゃないですか。
いつ訴えられるかとか、うまくかわせる部分とか。
〇〇風というと、絵柄の模倣と取られると困るリスクもありますからね。
例えば似顔絵を似せるときに「北斗の拳風」とか、作品名が指定されているものとか。今対応しているのは「キングダム」寄りなんですけど。
気をつけているのは、本人よりも癖の強い絵柄の作品だと、作品の中で似ているキャラクターを探して、そのキャクターを参考にしながら似顔絵のキャラクターを描いています。漫画に寄せるのか、似顔絵の人物に寄せるのか、その配分には迷います。
その配分が難しいので、みんながあまりやらない理由はこれなんじゃないかと思います。
『その人がその漫画の中に住んでいるとしたら、こんなキャラクターになるかな』というイメージで作っているんですね。これは面白い。
あとはヒアリングの際に、「その人の好きなものはなんですか?」って聞きます。
漫画や趣味、食べ物でもなんでも好きなもの。自分にとって好きなものや大事なものを聞いて、その理由も聞いています。
写真だけ見ても、その人のことって分からないじゃないですか。
なので年齢も身長も聞きます。顔の正面や横アングルの写真と、他にはご自分が気に入っている写真もいただきます。
対面せずにチャットやヒアリングシートのやり取りでお客さまの情報をいただくので、相手の人柄を探るためにこれは必ずやっています。
まとめると『作品にこの人が登場人物として出てくるなら、こんな人だろうと想像して描く』という感じですかね。
話を聞いてるだけでも、ワクワクする感じですね。
どんな環境・道具で仕事してますか?
谷町さんがイラスト制作に使っているツールやソフトはなんですか?
CLIP STUDIO(クリップスタジオ)ですね。アニメも作れるのでおすすめです。
あとWacom(ワコム)の板タブです。最初の仕事をし始めた時から板タブだったからということもあるんですが、慣れてくると姿勢良く絵がかけるんですよ。
どうしても手元だとずっと下を向いてしまうので、首のこりで頭が痛くなる。
アニメーター時代はライトテーブルで下を向いて描いてたので、これは良くないなと。
●CLIP STUDIO(クリップスタジオ)
●Wacom(ワコム)
板タブは安定感ありますね。最近は安く買える液タブも増えてきた印象です。他に愛用してるツールは?
最近iPadを買ったので、サブモニター代わりに資料を開いたりしています。
その他、よく使っているサイトはありますか?
クリスタのポース集みたいなものは、買ってみたりもしましたね。
自分でポーズを取らせるツールは、逆に時間がかかってしまうので、使わないですね。
ポーズマニアックスは昔はお世話になったけど、今は……。
あんまり使わず、って感じです。
●ポーズマニアックス(人体モデルが参照できるサイト)
プライベートではどんなことをされていますか?
仕事以外ではどんなことをしてますか?
一番つまんない答えになっちゃうんですけど……(困惑)
漫画読んで動画見てるくらいですよ……。
では今ハマっている漫画は?
今読んでるのは「亜獣譚」って漫画です!
この人ばりうまいよね。心理描写も暗くて、私好みです。
あと猫の書き方が神!
猫をめっちゃ可愛く描くし、猫らしく描く人です。
ファンレターを贈ろうかと思ってるくらい、めっちゃ好きですね。
最近知った人なんですが、連載が始まるので最初から追って応援しようと思ってます。
漫画家を応援するなら、連載中に支援するのが大事なので。
そういえば、「#孤独のフリーランスめし」ってTwitterのハッシュタグでツイートしてますけど、あれなんですか?
あれは完全に趣味ですね!
料理するの好きなんです。
と言っても、パンを1から焼くとかチーズを作るとかはできなくて、カップ麺になにをいれたら一番美味しいかとかそういうレベルですけど。
時間も手間もかけずに、コスパが良くて、簡単にできるものでバランス良く自炊をする。
あとは気分転換になるんですよね。それで一石三鳥、四鳥のつもりで投稿してますね。
昨年の2月くらいからひとり暮らしで、一人でご飯を食べてても自分は寂しくないけど、客観的に見て寂しいところがあるじゃないですか。
孤食とか言うじゃないですか。
子どもの教育的に悪いとか、誰かとご飯食べないと行けないみたいな押し付け感。
私は一人で食べててもこのパンめっちゃおいしいとか、思うし……。
自分の好きなものしか作らないし、いかに楽しくコスパよくおいしい食事をつくる充実感っていうのがあるんです。
世の中、一人でご飯を食べてる人ってめっちゃ多いじゃないですか。
それは多いと思いますね。
そういう一人でご飯を食べることが、ネガティブというか寂しいものでなくなるといいなと。
意外と楽しいんですよね。
こう聞くと、料理も創作物って感じがしますね。そういえば、「きょうの晩ごはん」ってLINEスタンプありますよね?
売れてますか?
うーん、そんなには売れてないですけど、ちょっとした収入源にはなってます。
もっと時間があったらアニメーションを付けて、湯気をたてるとか、今日の夕飯はこれ!みたいな、アニメーションをつけていきたいです。
このスタンプから谷町さんを知ると、料理関係の仕事してる人かなって思っちゃう。
最近のひそかな悩みが、イラストより料理系の投稿の方がいいねがついてしまうことなんですよね。
これはイラストレーターとしてどうなのか……。非常にやばいと思っているのですが……。
ちょっと悩ましいですね…w日本人はみんな食事が好きなんで。
将来やりたいこと、これからの展望は?
将来やりたいことは?
似顔絵Zのビジョンとかですよね。全人類二次元化計画なんですが……。
やりたいことあんまりないな。そこまで遠いビジョンはなくて、けっこう目先の視点になっちゃいますね。
それはそれでクリエイターらしいですけどね。
自分ってあまり海外に住みたい欲もそうないし、現状の暮らしにそこまで不満はなくて。
もう少し休みがほしいとか、楽に稼ぎたいという気持ちはありますが、特に個展をしたいとかはないですね。
欲しい物とかはありますか?
ただお金が稼げたら、インテリアとかにはお金を使いたいかな、とは思いますね。
考え中です!
これからイラストレーターを目指す方へ
これからイラストレーターを目指す方に、アドバイスがあればお願いします。
世の中にイラストの需要はめちゃくちゃあると思うんですよ。
イラストをほしいと持っている人や場面はたくさんいる。
需要はあるけど、イラストレーターがサービスを作らない前提の話でいきますけど、
その人たちにどう売り込んでいくのか、買ってもらうことはやっぱり難しい。
自分のイラストがどんなシチュエーションで使われるのかは、具体的にしたほうがいいと思います。
もしかしたら海外に需要があるかもしれないし、いまある広告やアニメ・ゲーム以外の分野で求められるかもしれない。
もっと自分のイラストが使われる場面に対して、視野を広く持つことが大切ということですね。
そうですね。
私もそうでしたが、自分の知らない業界にも可能性はあると思います。
イラストの選択肢自体はたくさんあるはずなので。
イラストと一口に言っても、同じようなイラストを描いている人でもこの仕事はしているけど、この仕事はしてないとか。
日本では有名だけど、海外では全然知られてないとか、やっぱりあるじゃないですか。
食べ物と似てますね。
日本ではおにぎりって一般的だけど、海外だとおにぎりなんて食べ物は珍しい!バカ売れ!みたいな。
開いてる椅子を探す感覚ですよね。
そう考えると、可能性ってめっちゃあると思うんですよ。
イラストとなにかを掛け合わせるとか。例えばイラストとデザインとか、動画つくれますとか、漫画描きますとか。
それをやると、選択肢も繋がりも広がると思っています。
新しい考えを持つには、イラストレーター以外の業種の人と話をしたほうがいいんじゃないかと思っています。
企業も個人もそうだし、YouTuberもそうですよね。
これしかないと視野を絞るのではなくて、いろんな可能性を探ってみるのは大事だと思います。
そうしたら誰も気がついていない椅子とか、隙間にすっぽり入るかもしれないし、見つかったらそこを死守してどんどん成長できますし。
その視点があれば、ライバルが多くてもやっていける道はありますよね。
そうですね。
私はイラストレーター同士は、ライバルとあまり思っていなくて。
同業者が多いから、価格が上がらないとは思ってないですね。
ゲームの下請けしていたときは、ちょっとそう思ってましたけど……。
自分はすごく絵がうまいわけでなくて、アイデアとうまいこと隙間にすっぽり入ったから上手くいったという感じなので。
全人類を二次元化する「似顔絵Z」に対する意気込み
最後に谷町さんの「似顔絵Z」について、意気込みをお願いします。
似顔絵の地位を上げたい!
いいですね!
似顔絵って、だって顔ですよ?あなたの分身ですよ?
なのに誰でも使えるような、ジェネレーター的なイラストでいいの?っていう疑問があります。
これからは個の時代でSNSの時代なので、アイコンはかなり大事になってきますよね。
似顔絵って他人じゃなくて、自分が一番見るものなんです。
自分のSNSって、自分が一番見ている時間が長いんですよね。
だったら気に入ったものを使うべきだし、妥協しないでこだわって注文して、自分が満足できる似顔絵を使ったほうがいいと思うんですよ。
そういう人のための「似顔絵Z」なんですね。
SNSって、個人にキャラクター性がくっついているものだと思っています。
この人ならこう言うだろうって、キャラクター性というか人格をみんな想像している。
それに形を与えるにあたって、自分の顔をそのまま使う必要はなくて、発信に沿ったキャラクターがあってもいいと思っています。
特にYoutuberだと、リアルとは全然違うキャラの人もいますもんね。
リアルの性格だと配信内容に合わないから、キャラを作ってやったら人気が出た、という人もいると思いますね。
なるほど、確かにSNSに限らずアイコンが魅力的だと、キャラクターとしての魅力も高まりますね!
そんなこだわりたい方の要望に「似顔絵Z」は答えられるサービスだと。
そうですね!
全人類を二次元化するまでは、止まりませんゼーーーーット!!
▼自分も二次元化したい!「似顔絵Z」の詳細はこちら!▼
フリーランス・クリエイターの駆け込み寺カッシーによる考察
実は似顔絵イラストって超競合ひしめくジャンルなんですよね。その中でも差別がをしていくっていうのは、実はすごく難しいことで多くの人が趣味や副業止まりな方が多いです。
そんな中ちゃんと自分のブランドを確立していくのは並大抵ではないことですね。
谷町クダリさんには弊社が主催するクリエイター祭りでも登壇や2018年の広報などご協力いただきましたが、物凄く緻密に設計してどういう風に人に見られるのかプロデュース意識が高くて頼りになりました。
漫画がアニメが共通文化になっていく今の日本で、これからも需要は増えていくと思われるので似顔絵イラストレーターの地位をこのまま確立してほしいです。