フリーランスが案件獲得で悩むのが「見積もり」です。何を聞けばいいのか?何が正解なのか?悩む人も多いでしょう。正しく性格な見積もりをするためには「ヒアリング」がとても重要です。
ヒアリング力が低いとあとから仕事のトラブルの原因になったり、追加予算無しで対応する仕事が増えてしまったりと稼げない原因になります。それだけプロであればプロであるほどヒアリング力が高い、つまり仕事が失敗しにくいとも言えます。
この記事ではフリーランス支援を10年続けてきた僕がオススメのヒアリング項目を紹介します!イラストレーター、デザイナー、ライター、Webデザイナー、動画編集など様々なクリエイティブ職業にお役に立てるマニュアルですのでぜひご覧ください。
どうしたら単価もっと上がるかなー。いっつもこれぐらいでいいか!と決めて進めてみるもののあとから「もっと貰っておけばよかった・・・」ってなるんだよね。
それは想定が甘いってことだな。結果的に本来もらうべき金額より安い金額を請求しているってことだ。
えええぇぇぇそんなこと言ってもー><
そしたら今日は単価アップのためにも、ちゃんとヒアリングすることを解説しよう。
【この記事を書いた人】
フリーランス・クリエイターの駆け込み寺
株式会社クリエイティブユニバース
樫本祐輝(カッシー@strive)
1985年生まれ 岡山出身大阪在住 フリーランス歴14年&独立支援歴10年。Web制作会社→フリーランスWebデザイナー→ゲーム開発会社→マーケティング会社→NPO法人→フリーランス・クリエイター支援や法人向けコンサルティングで起業・法人化。UI/UXデザインや中小企業のDX支援を手掛ける。2012年よりフリーランスセミナーを大阪・東京にて開催。2013年から続く招待制クリエイターギルド「THE CREATIVE」(有料)。Adobeを始めとする様々な企業と共にクリエイター向け交流イベント「#クリエイター祭り」。家庭も大事にしずっと専業主婦の妻と3児のパパ。これまでお会いしてきたフリーランスは1,000人以上。詳しいプロフィールはコチラ
仕事獲得の分かれ目?動画で学ぶ「ヒアリング術」
ヒアリングで仕事のゴールやクオリティが大きく変わります。より細かいニュアンスを伝えるために動画を撮影しましたのでこちらで勉強してください!
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仕事の成功はヒアリングが9割!ヒアリング不足だとトラブルの原因になる
ヒアリング不足だとどのようなトラブルになるか経験したことはありますか?
例えば次のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 納品後、編集可能なデータの提出を求められた
- 納品後、請求書を出したら支払いまでとても時間がかかると言われた。
- 仕事が始まってから送られてきた契約書を見ると無条件で著作権を渡す契約になっていた。
- Webサイトを公開したが、その後の更新対応まで求められた。
これらの問題はなぜ起こるのでしょうか?それはお互いに自分の「当たり前」を信じて行動したり、「言葉の意味」がズレているのに気が付かない、聞き忘れていたなど様々な可能性が考えられます。
限られた時間の中で仕事をしているフリーランスにとって時間やお金がの予定が想定外になることはとても厳しいのが現実です。
可能な限り回避するためにもプロとしてのヒアリング術を手に入れましょう。
忘れないで欲しい7つのヒアリングの型
有料コンテンツ「フリーランス研修」でも解説している「案件見積もり時に確認しておきたい7の項目」を抜粋してご紹介します。
1.予算感を確認する
まず大事なのは予算感を聞くことです。
せっかく順調にヒアリングを進めていても、いざ自分が普段提案している金額を伝えたら「そんなに予算無いんです・・・」となるととても時間が勿体ない無いですよね。
予算が決まっていば松竹梅で様々な提案をして、相手に決めてもらうこともできますし、想像より安い場合は交渉してその金額で折り合いがつくプランを考えることになるでしょう。
2.スケジュール
これが合わないとそもそも業務を遂行できない重要な項目ですね。スケジュールが不明瞭だと本当に依頼が来るのか心配になるため地雷案件の確率が上がります。
本来であれば自分ができないことを外部のプロの方に依頼する場合、お伺いを立てる立場になります。そのためせめて時間を奪う判断要素となるスケジュールは決まっていて欲しいですよね。
3.クオリティ
求めているクオリティがどれほどのものか、しっかりすり合わせる必要があります。
「カッコいい」「かわいい」といった言葉も定義は様々です。例えば送られてきた参考が演出やデザインとして参考なのか、それとも構成として真似してほしいのかでも意味は大きく変わってきます。
例:
・Webデザインの雰囲気なのかレイアウト構成なのか
・動画編集の編集構成なのか、撮影雰囲気なのか
4.予算感・スケジュール・クオリティの優先度
ここまで「予算感」「スケジュール」「クオリティ」の3つの優先度を聞くことも非常に大事です。
実はこれら3つの要素はすべてを優先することはできません。すべてを優先するということは「早くて、安くて、ハイクオリティ」な仕事になります。そんな都合の良い仕事は考えられませんよね(汗)
制作者側は「クオリティが大事」と考えていても、実はお客さんは「早く見えるものは欲しい」「クオリティより安さ優先で」という案件だった場合、あとで揉める原因にもありますので必ず優先順位を聞きましょう。
5.納品の定義
何をもって納品として定義し、請求書を出していいのか、その条件を確認しましょう。
納品データを渡したら完了なのか、Webサイトとして公開できたら完了なのか、フリーランスの職種によっても納品の定義も変わってくるでしょう。
これが曖昧だと「この作業いつまで続くのか?」と不安になったりします。この納品の定義を詳しく決めておかないと「あとこれも作業が必要です」と想定外の作業が発生する可能性もあります。
6.支払いサイト(支払い債渡・支払いタイミング)
納品の定義の次は「支払いサイト」の確認です。Webサイトのサイトとは意味が違い、「債渡」の意味となります。
支払いサイトとは入金のタイミングのことで、納品後に請求書を発行した後いつ入金してもらえるのか?その期間を確認しましょう。
一般的に商法では末締め翌月末払いが基本となっていますが、会社はもちろん業種業界によっても違う可能性もあります。
4月に仕事をしたとしても、支払いサイトが翌々月20日払いとなると入金は6月20日となります。そういった入金計画も考えて金額の見積もり出す必要がありますので支払いサイトの確認はとても重要です。
なお、今検討されているフリーランス新法では原則60日になる予定となっています。
7.実績公開の有無
あまりこれはネットやYouTubeでは言われてない話なんですが、フリラボではその仕事が実績の公開が可能かどうかで見積金額は変えていいと推奨しています。
実績の公開が「できない」という条件が載っている分の価格を考えるということです。
フリーランスにとって実績公開は営業において非常に大きな意味を持ちます。あとから聞くと面倒に思われることも多いので必ず最初の段階で聞いておくべき事項です。
以上7つ紹介させていただきました。特に5,6,7については制作が始まってから確認する人が多いのでトラブルになりやすい、もしくはフリーランス側が泣き寝入りする可能性が多い項目となります。
さらに聞いておくと良いこと
さらに職種によって聞いたほうがいいこともあります。
源泉徴収税の確認
デザイナーやイラストレーターなどは源泉徴収税額の対象です。ヒアリング時か請求時でもいいので「源泉徴収は引いて報酬は払われますか?」と確認しましょう。
素材の有無
クリエイティブ系など作業する上で非常に影響が大きのが素材の有無です。
用意してくれるのか?それともフリー素材で対応して欲しいのか、フリー素材であればどういうのが求められるかなど影響が非常に大きいです。
編集可能な元データの提供
デザイナーや動画編集の仕事でよくある話がこれ。編集可能な元データ納品は後述する著作権・二次利用と合わせて確認しておきましょう。別途費用が掛かるということを最初に話しておかないと「もらえると思っていた」と勘違いされるケースはまだまだ多いです。
著作権と使用条件
イラストレーターなどでは必ず確認しておきたいのがコレ。イラストは「使用を許可する」レンタルのようにビジネス上は扱われます。そのため著作権は描いた人が渡すことに合意してない限りは著作者が保持することになります。
イラストなどであれば「この使用用途に限る」と条件をつけて納品されます。例えばフリラボのイラストは、WebメディアのPRやSNSで使用する許可は頂いていますが、このキャラクターに声を当ててアニメ化したりする際は改めて二次利用について描いてもらったイラストレーターに許可や二次使用料の相談をする必要がでてきます。
描いたイラストの使用条件をしっかりとヒアリングし、相手が求めている要望が叶えられるように見積もりに活かしましょう!
二次利用
最近は納品したイラストがそのまま電子書籍になるというケースもよくあります。必ず先程の使用条件と合わせて、どのような使い方が想定されるか必ずヒアリングし、適切な金額と使用条件を定めましょう。
参考記事として二次利用についてはコチラの記事が詳しく書いてありオススメです。
保守・修正
納品後の修正についても決めておく必要があります。
納品後、1年2年経ってから修正を依頼されても困りますよね?必ず修正や保守管理について話し合っておきましょう。
特にwebサイトなどは最初の立ち上げの初期費用まではよくてもwebサイトを運用し続けていると何かしら修正はでてきます。どこまでを無料で対応するのか?どこから費用が発生するのか?しっかり決めておきましょう。
関係するステークホルダー
その仕事に関係する人はどれぐらいいるのかを把握する質問です。
例えば担当者で完結する話なのか、それとも上司や会社の社長、さらにその上の取引先などその仕事においてどのようなステークホルダーが存在しているのか?最初に確認しておくと提案の仕方や資料作りなども影響してきます。
ステークホルダーが多ければ多いほどコミュニケーションコストも掛かる傾向にあります。
最後に
以上ヒアリングのコツについてお話させていただきました。
ヒアリングはプロとして仕事の差をつける上で非常に重要です。経験則ですが仕事ができない人ほどヒアリングが甘いもしくはやりづらいと感じられて逃げられるケースが多いです。
ヒアリングを見すると相手と目指してる場所が変わってくるので当然後半お互いに不幸せな状況が生まれてします。ミスマッチを起こさないためにも紹介したヒアリングの型を使いこなしてみて下さい!