「良いクライアントに出会えない・・・」
「良いフリーランスのパートナーに出会えない・・・」
フリーランスと企業の両方からこんな声をよく聞きます。
この問題は何が原因で起こるのでしょうか?
この記事では互いにトラブルにならないために、発注者側に必要な情報をまとめました。発注者にとっても、仕事を受けるフリーランス側としてもこの記事を読んでもらうと交渉の幅が広がると思います。フリーランスにとっても企業にとっても学びある記事にしました。
【この記事を書いた人】
フリーランス・クリエイターの駆け込み寺
株式会社クリエイティブユニバース
樫本祐輝(カッシー@strive)
1985年生まれ 岡山出身大阪在住 フリーランス歴14年&独立支援歴10年。Web制作会社→フリーランスWebデザイナー→ゲーム開発会社→マーケティング会社→NPO法人→フリーランス・クリエイター支援や法人向けコンサルティングで起業・法人化。UI/UXデザインや中小企業のDX支援を手掛ける。2012年よりフリーランスセミナーを大阪・東京にて開催。2013年から続く招待制クリエイターギルド「THE CREATIVE」(有料)。Adobeを始めとする様々な企業と共にクリエイター向け交流イベント「#クリエイター祭り」。家庭も大事にしずっと専業主婦の妻と3児のパパ。これまでお会いしてきたフリーランスは1,000人以上。詳しいプロフィールはコチラ
会社員と独立している人の温度感の違い
まず知って欲しいのが会社員と独立している人ではお金や時間の考え方が大きく違うことです。
フリーランスの場合、活動していくのに一日2〜3万円を見積もって動くのが最低限のレベルです。ということは片道1時間、2時間の打ち合わせ、帰り1時間。事前準備も合わせると半日近く使います。正直この時点で1万円ぐらい請求したい気持ちです…
にもかかわらず、企業側は「とりあえず話聞きたいから来てほしい、とりあえず検討するから見積もり欲しい」となります。フリーランス側は当然見積もり・打ち合わせでもお金を請求したい気持ちになります。この感覚の差は一体何なのでしょうか?
社内にいると部署間で依頼するものにわざわざ金額の見積もりしないですし、そこに売上がどうあがるかどうかまで興味・関心を持てないほうが寧ろ自然です。(というか気にしなくても済むようにしている)
しかし、フリーランスで例えばWebデザイナーのようにオーダーメイドの仕事の場合、Webサイトに実績や条件など載せているのにも関わらず上記の温度感でとりあえず来てほしいという話をよく聞きます。
「正直電話やオンラインで良かったのではないか?」
「稟議を通して問い合わせすればよかったんじゃないか?」という話は非常に多いです。
コレは皮肉ですが、海外の企業が日本と取引するとき社内に持ち帰って検討しますと伝えるとなぜ決済権を持たない人が打ち合わせに来てるの?となるとか以前聞いたことがあります。タイムイズマネーとして似たような問題でしょう。
仕事あるから、発注してあげるからと上から目線も今の時代通用しなくなるでしょう。
個人同士がネットワークを持ち、人手不足で発注先が見つからないという企業が今増えていますのでぞんざいな扱いをするとあっという間に世間を敵にしてしまうこともあります。互いにWinWinの関係になれるよう対等な交渉を心がけましょう。同業者で結構繋がってるので、悪い企業の噂は思った以上に広がります。(たくさんの人に見積もり依頼してるとかw)
金額・スケジュール・仕事内容を可能な限りまとめる
前提が少し長くなりましたがここからが本題。
ビジネスとして外部に発注するのであれば、次の3つをなるべく決めると互いにハッピーです。
- 1.仕事の内容
- 2.スケジュール(納期)
- 3.金額
これらがほぼ揃っていないとビジネスの相談として誠意がないと見られてもおかしくありません。ぐらいの意識を持って欲しいです。
スケジュールと要件が決まっている状態で見積もりを取るケースもあると思いますが、要件があやふやであればあるほどバッファを踏まえた見積もりになるため見積額が高額になります。少しでも安く抑えたいなら気をつけましょう。
また、詳細が不明すぎると誰にお願いすればいいかの選定に悩んだり、スケジュールが曖昧だと仕事も受けにくいでしょう。スムーズにいくためにもこの3つを可能な限り決めることをオススメします。
トラブルは認識のズレから起こる!速さ・価格・クオリティの3つの優先順位
仕事の中ですべてを両立できないのがこの3要素「速さ」「価格」「クオリティ」です。
- 速さを優先するとクオリティ・価格優先度が下がる
- 価格(安さ)を優先すると速さやクオリティが下がる
- クオリティを優先すると速さと安さの優先度が下がる
この3つどれも大事なのはもちろんですが最も重要なのはどれか?優先順位はどうか?を互いに認識ておくことは非常に重要です。
本当は急ぎで発注したのに、受託者がクオリティが大事だと時間を書けていてはトラブルの原因になります。
必ず実績・ポートフォリオを確認しよう
フリーランスとのトラブルで多い一つに結構話が進んだ後、実は求めていた作風が違ったというケース。これは正直フリーランス側にとって失礼極まりない話です。
フリーランスの多くは自分の能力を売る仕事をしています。当然仕事を受けるということは、それを求めて発注していただけていると当然思います。飲食店に例えると分かりやすいですがカレー屋に入ってきて実はうどんが食べたかったなんてひどい話です。
しかし、企業だけが責められた話ではありません。ちょっとフリーランス向けの話になりますが、専門家でなければ細かい違いなど分からないというのも一理あります。
中国料理にも上海料理・広東料理・北京料理・四川料理とありますが、その違いが一般人には分からないように、専門ではない人にとって業界内の違いは非常に分かりにくいものです。
その結果、有名だから、本を出しているから、セミナーしているから、信頼している人の紹介だからと安易な判断で選ぶしか無いというのも事実です。
フォロワー数を増やせば仕事が来るかも?と期待される方も居ますが、1000人は少し大きな高校、1万人は村長、10万人は小規模な市長、30万で中規模の都市レベルの知名度になります。このことから自分のスキルよりも、いかに声が届く範囲がどれだけ狭いかをよく知っておきましょう。
発注のポイントの参考記事
仕事の発注に関するより詳細について知りたいという方に向けていくつかのジャンルを集めてみました。
発注側で全部分からなくても良いので、可能な範囲で必要な情報をまとめたほうが正しい見積もり金額が分かりますし、仮に相談相手が違う場合でもどんな人に相談すればいいか情報があれば知識量のあるフリーランス側から教えてもらえます。
イラスト・キャラクター制作
イラストやキャラクターの発注についてはさらえみさん(@saraemiii)の記事が分かりやすいです。
Webサイト・ホームページ制作
写真撮影(フォトグラファー)
動画制作
ロゴデザイン
ゴールを共有し、ズレを無くそう
結局色々とお話していますが、最終的これらは「ゴール」のズレが引き起こす問題です。ゴールまでのビジョンがちゃんと互いに認識が合っていれば正直ほっといても進みます。
ではどうすればこのゴールという認識を合わせることができるのでしょうか?それは「きっと相手は分かってくれてるはず」という自分に都合の良い勝手な思考をしないことです。
仕事内容だけじゃなく、その仕事の背景、理由など様々な要素を相手に伝えるしかありません。
特にビジネス上で言った言わなかったのやりとりほど見苦しいものはありません。
発注のメールテンプレート例
あくまで参考にしかなりませんが、可能であればこれぐらい情報があると良いメールテンプレートをデザイン案件を例にご用意しました。もしご自身で考えるのが難しい場合はご利用ください。
はじめまして、株式会社○○○の○○と申します。
○○○にて○○○様を知り、Webサイトの実績を拝見してお問い合わせしました。
下記案件をご相談したく、よろしければご検討の上、お見積りは可能でしょうか?1.概要
某○○に関する企業様の新規キャンペーン用のWeb用のグラフィックの作成になります。ロゴと写真素材は支給になります。既に弊社で受注し、社内のリソースが足りないので期日までに担当してくださるデザイナーさんを探していました。
2.スケジュール
○/○ ラフ提出○/○〜 修正期間
○/○ 完成データ納品
3.クオリティの目安
添付しているWebサイト or 画像のような印象にしたいです。その中でも○○は必要ですが、○○の部分に関しては自由に提案していただいて構いません。
4.予算
弊社ではおおよそ○○万円+税ほどと見積もっていますがいかがでしょうか?はじめての取引ということで一度不明点などすり合わせを電話やオンライン会議等でやりとりを希望したいです。
以上ご検討よろしくお願いします。
(署名)
以上、フリーランスに発注・依頼する時に知ってほしい点をまとめてみました。せっかくだからお互いに気持ちよくスムーズに仕事するためにもぜひこれらのことを意識してみましょう!