
2020年現在、YouTuberなどの活躍や動画広告、デジタルサイネージの普及など様々な理由で動画クリエイター・ビデオグラファーという職業が注目を浴びています。
今回はそんな動画クリエイターで20代前半で独立してフリーランスとして活躍されている森脇さんをインタビューさせていただきました。
森脇さんにはフリラボの姉妹サービス「オンラインフリーランススクール フリカレ」の動画クリエイター講座の講師も担当してもらいます。今注目の職業のインタビューをぜひご覧ください。
【この記事を書いた人】
フリーランス・クリエイターの駆け込み寺
株式会社クリエイティブユニバースCEO
事業戦略クリエイティブプロデューサー
樫本祐輝(カッシー@strive)
1985年生まれ 岡山出身大阪在住 Web制作会社→フリーランスWebデザイナー→ゲーム開発会社→マーケティング会社→NPO法人→再びフリーランス→フリーランス・クリエイター支援や法人向けコンサルティングで法人化。2012年よりフリーランスセミナーを大阪・東京にて開催中、2013年から続く有料フリーランスコミュニティ「TheCreative」を運営。「#クリエイター祭り」など様々なイベントを開催する。家庭も大事にしずっと専業主婦の妻と3児のパパ。これまでお会いしてきたフリーランスは1,000人以上。詳しいプロフィールはコチラ
動画クリエイター森脇さんのプロフィール

1996年生まれ山口県出身大阪市在住。
2018年 医療従事者から高校生向けキャリア教育事業のPR責任者になる
→2019年9月 姉の結婚式の映像制作で、誰かのために映像の届ける良さを実感しフリーランスを目指す。2020年1月に映像クリエイター(フリーランス)として独立。
おでかけ旅行メディアルトロン公式動画クリエイター。高校生向けキャリア雑誌Zoo(マーケティング、PR責任者)
実績作品
動画クリエイターになったキッカケはなんですか?


動画クリエイターを目指した経緯や、どういうきっかけで今の仕事に就いたのかお伺いしていいですか?

初めて「Adobe Premiere Pro(アドビプレミアプロ)」を触ったきっかけとしては、去年の6月頃のTwitterのイベント集客で「YouTube編集をやってみよう」という企画でした。
それまでは自分のために作っていたのですが、11月に姉の結婚式があって、ウェディングムービーを作ることになりました。
●Adobe Premiere Pro(アドビプレミアプロ):Adobeから提供されている動画編集・加工ソフト

それまではテキストを打って字幕をつけるくらいしかやっていなかったのですが、いろんな素材を集めて組み合わせるとこんな世界観が作れるんだ、というところにやりがいを感じ、独学で勉強をはじめました。

ソフトを触り始めたことで動画や映像に興味を持った、という流れなんですね。
勉強はどれくらいされましたか?

勉強を始めたのが10月頃で、11月までにムービーをつくるということで2ヶ月間がむしゃらにやりました。
それで姉や家族の喜ぶ姿やみんなが笑っているところを見て「これが仕事の本質だなぁ」と。
誰かのためにつくることが今までなかったので、そこでやりがいを感じたのがきっかけです。

お姉さんの結婚式であれこれ考えながら作っていく中で、やりがいを覚えたんですね。
最近独立されたばかりですが、独立に至った流れはどのようなものですか?

自分の性格というか特徴が、自分がこれをやりたいって思った時「結果を残すまでやめない」とこがあるんです。
普段は飽き性なんですけれど。医療系の大学に行ってた時は、100位中80位とかギリギリだったんですけど、これをやると決めた時ほど上がっていくのが早かった、という成功体験がありました。

なので動画を勉強していると、自分の中の闘志みたいなものが湧き上がってきて、10月から11月までの間にがむしゃらに勉強できた、という流れですね。

なるほど。会社を辞めることについては、どういう経緯や気持ちありましたか?

もともと一つの所にずっといるのが苦手で、早く辞めたいけど何も見つからないとモヤモヤしていました。
そのときに映像に出会って、自分の映像の売上と会社で収入のバランスを考えた時に、20万〜10数万ぐらい映像で稼げたら辞めようと決めてました。
それがちょうど1月頃だったなという感じです。自分の収入をちょこちょこあげながらって感じでしたね。
フリーランスの失敗談は?


フリーランスになってから経験した失敗談があればお聞きしたいのですが、なにかありますか?

「ディレクション力」かなと思っています。
最初のヒアリングに時間をかけられず相手さんのニーズを深く聞けなかったときがあり、寄り添って作ったつもりだったんですけど、結果的に思っていたものと違った、ということがありました。
もっと深くこの人が会社を作った理由だったり、理想やビジョンなど普段聞かないことを話し合うことで、これがいいと見つかった時があったので、それに気づいていなかったことが自分の中では失敗だったかなと思っています。

お客さんが喜んでくれる道筋をちゃんと組み立てる、ということですね。
それから改善されたことはありますか?

それまではディレクションに関して、最初に始まった時に、1時間ぐらいしか顔を合わせや打ち合わせをしていなかったんです。
でも毎回進捗に合わせて、これはどうですか?と繰り返し報告をして、違ったらまた作り直して修正して……とやっていると、どんどんいいものができ上がるようになりました。そこは工夫したな、というところです。

早くみせて早く直すということですね。お客さんにとっても、連絡がマメな方が安心ですしね。
動画クリエイターになって印象に残っている嬉しかったことは?


フリーランスの動画クリエイターとしてやっていて、印象に残っている嬉しかったことはありますか ?

3月頃に、初めて企業さんのPRをつくったんです。
その時に言われたのが「森脇さんの映像をお願いしたい。自由に自分の持っているものを全部出して」と。
自分の作品を知ってもらえていたこと、誰でもできる動画クリエイターではなくて、森脇くんだからお願いしたい、と言われたことが嬉しかったですね。

仕事に人をあてるのではなく、人に仕事をお願いするという流れですね。
このタイプのお仕事は、単価が高くて進行もいいですよね。

そうですね。ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)を重ねるうちに、どんどん自分の思うよう進んだと感じます。
もちろんクライアントさんの要望を聞いた上でやりますが、自分なりに工夫する時間も作れるし、自分の中で仕事の分岐点になりました。
今まではYouTubeなんでもやりますよってスタイルでしたが、こっちの方が外に出していけるなという気持ちになりました。

一度自分の得意な仕事を体験すると、連鎖して同じような仕事が舞い込んできますよね。
体感的にそういう経験はありますか?

結構ありますね。
僕は色補正が得意ってところで、これをどんどん追求したいっていうのがあります。
いままではなんでも屋みたいなスタイルだったんですけど、僕だからできる色補正だったりBGMを選ぶっていうのは、自分なりの価値観を乗せられるので、それで仕事が決まっていったのは良かったです。
仕事の流儀。仕事をする上で大切にしていること


さっきのディレクションの話にも繋がるかもしれませんが、森脇さんが仕事の流儀として、大事にしていることを教えていただけますか?

さっきの報告・相談するっていうのも一つです。
でも「自分はなんで動画をやっているんだ」っていうのを追求したことがあって、そこが燃えないと自分は続かない性格なんです。
なぜフリーランスになって、クリエイターとして動画編集をやっているのかというと、自分には『ゴール』があるからでした。
ゴールがないと結局やってる意味がなくて、内在的な部分を大事にしていますね。

なるほど、森脇くんのゴールは将来の展望的なところですかね?

直近で目指していることもありますが、そうかもしれません。

この後に将来の展望の部分で、詳しくお聞きしますね。
お先に次の質問です。
どんな環境・道具で仕事してますか?


普段はどんな環境や、どんな道具を使ってお仕事をされていますか?

環境からいうと自宅もありますけど、落ち着いたカフェに行くのが趣味です。
日常でもありカフェに行くのが楽しいので、カフェで仕事をするのがルーティンになっていますね。

おしゃれですね!多くの人がイメージするフリーランスの姿って感じです。

道具に関しては、まずカメラの話から。
フリーランスになる前に、「Osmo Mobile 3(オスモモバイル)」っていうiPhoneで使えるスタビライザーがあるんですが、それを使って軽いお仕事をさせてもらっていました。
まずは基本といいますか、一眼レフを触る前に小さいiPhoneからカメラ撮影だけの練習をしていました。
※スタビライザー:動画撮影時の手ブレや振動を予防する専用のアクセサリーのこと。
●Osmo Mobile 3:スマホ専用の折りたたみ式スタビライザー

それを何度も繰り返して、1月くらいに「ソニーのα7Ⅲ」っていう、一眼レフを使い始めました。
当時他に迷ったのは、「Panasonic GH5」っていうカメラでこの2つで迷って結果的にはソニーの方に決めて、主なカメラを揃えました。
その他にも、一眼レフ用のスタビライザー「Ronin-SC(ロニンエスシー)」も揃えました。
SCっていうのが、軽くて使いやすいアクセサリーなんです。
●ソニーのα7Ⅲ(ミラーレス一眼カメラ)
●Panasonic GH5(デジタルカメラ)
●Ronin-SC:一眼レフカメラ用のスタビライザー。軽量でコンパクトなのが特徴

カメラは値段が高いものが多いので、迷いますよね。
ソフトやパソコンに関しては、何を使われていますか?

パソコンは「MacBook Pro 15inch」で、ソフトはインタビューの冒頭でもお伝えした「Adobe Premiere Pro」を使っています。

Adobe Premiere Pro以外のソフトは、あまり使わない感じなのでしょうか?

他には「DaVinci Resolve 16(ダヴィンチリゾルブ)」っていうソフトも使っています。
主にカラー編集で使っていて、無料で使えます。有料もありますが、色だけの補正なら無料で充分ですね。
●DaVinci Resolve 16(ダヴィンチリゾルブ)※基本は無料、有償版あり
カメラとソフト以外に揃えておくといいものは?

カメラとスタビライザー、編集ソフト以外に、揃えたほうが良いものはありますか?

そうですね、「三脚」は大事だと思いますね。
あとは一応予備のカメラも必要かなと思っています。
一人で撮影していると、その画角からしか撮れないんですけど、もう一つ付属で置いてあると別のアングルからも撮れるので、インタビュー動画の撮影には重宝しますね。

あとは僕がドローンを飛ばすのが好きなので、ドローンを飛ばしたい方なら、「Mavic Air(マビックエアー)」とか、「Mavic Pro(マビックプロ)」、「Mavic Mini(マビックミニ)」などがあるので、それらを選ぶのもいいのかなと思います。
●Mavic Air 2(Mavic Air、Mavic Proは生産終了):ドローン
●Mavic Mini

ドローンいいですね!ちなみに森脇くんは、どこにドローンを飛ばしに行くんですか?

実家が山口なので、そこでレンタルして飛ばしています。
大阪ではなかなか……。

そうですよね。僕もドローンを飛ばしたい時は、実家まで車を飛ばしてます。
プライベートではどんなことをされていますか?


少し話題を変えまして、お仕事以外のプライベートについてお聞きします。
お仕事のない日はどんなことしていますか?

そうですね。基本は写真を撮るのが昔から好きなのと、さっきも言ったのですがカフェにもよく行くので、ありがちですがカフェ巡りをしてInstagramに上げるみたいなことをしています。
ただ最近は、クリエイターとして表に出ることが僕は少ないので、自己表現としてInstagramをやるのもありなんじゃないかと思って、Instagramに自分を出したりといろいろ挑戦しています。
映像を撮る自分を撮って載せるみたいなスタイルで、なにか自己表現に繋がることをしたいですね。

なるほど、カメラの技術もありますし、Instagramは相性がいいと思いますね。
将来やりたいこと、これからの展望は?

さきほど動画クリエイターをしているのは『ゴールがあるから』とお聞きしましたが、フリーランスとしてでも、人生全体としてでもいいので、目指しているゴールについて教えていただけますか?

直近の展望としては、動画クリエイターを増やしたいなと思っています。
今回のコロナの影響で、自分に能力をつけたいとかチャレンジをしたい、フリーになりたいという方がたくさんいました。
これまでやってきた中で言うと、動画編集のワンツーマンの講座を1回やらせてもらったとき、やっぱりアプリではどうしても限界があると感じています。
携帯ではなくて本格的にやりたいには方は、前述のAdobe製品だったり「Final Cut Pro X(ファイナルカットプロ)」とかあるんですが、やっぱり皆さんに「Adobe Premiere Pro」を使って頂きたいと思っています。
●Final Cut Pro X(ファイナルカットプロ):Appleが提供する高機能な動画編集ソフト

今回、「フリカレ・ビデオクエスト」の担当講師をやらせていただくことになって、自分は初めて最大6人の方を教える立場になります。
今まではできるまでが自分の課題だったんですが、今回は「出来るようになってもらう」ことが難しいなと感じていて、そこを試行錯誤しながらやっていきたいと思います。

ビデオクエストの意気込みもありがとうございます!では、大きな枠での展望は?

僕自身が面白いことがしたいと思っていて、動画クリエイターの中でやりたいことは、今後「FPVドローン(エフピーブイドローン)」を飛ばしたい、っていうのが自分の中にあります。
今までは目視でやっていて自分で操縦して飛ばすものなんけれど、まだ調べている最中ですが、けっこう難しいらしいんですよね。
※FPVドローン:FPVは「First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)」の略称。
ドローンから見た視線で空撮ができる仕組みで、FPVドローンはFPV撮影に対応したドローン全般を指す。

もともと僕の心が湧く時って、浮遊感があって、例えるならジェットコースターの落ちる瞬間のあの景色が好きなんです。
それが自分の思い出の中で強く残っているので、それが体感できるのがすごいと思っているので、FPVドローンを操縦できるように練習していきたいです。

ジェットコースターのあの浮遊感は独特ですよね。
ビデオクエストもそうですが、面白いことをしたい、がこれからどう広がっていくのか楽しみですね。
これから動画クリエイターを目指す方へ


これから動画クリエイターを目指す方に向けて、アドバイスやコメントをお願いします。

ここは迷うところがあるんですけど、 僕自身が目的を見つけないと動けないタイプで、それまで医療系の大学と大学院まで行って辞めています。今の映像クリエイターになるまでは1年半くらい空いた期間がありました。
その時に大事にしていたのが、自分はどんな人になりたいか、どんな人生を歩みたいのか、そういう考えが無かったので、映像で結局何がしたいかや、フリーランスって何なのか、自分にとってどういうライフスタイルを実現するための手段なのか、を考えることです。
あくまでも動画は手段なので、結局自分をどうしていきたいのかを考えることが、一番大事だと思っています。

自己分析に時間を充てた、ということですね。

一年半考える時間があったので、その時は自分に向き合うことが多かったです。
もともとネガティブな性格だったので、自分はどういう性格なのかちゃんと認識できるように意識しました。それで動画を学ぶ時も自分の性格から、短期決戦が早いとわかったので、すぐに実行できたというのがあります。
動画クリエイターを目指す方へは、動画はあくまでも手段なので、何をしたいのか・自分自身は何なのか、という所に向き合ってほしいなと思います。

フリーランスになりたいと考えたとき、 例えば動画なら今まで仕事経験もなければ知り合いもいない状況で独立というのは、抵抗がある方も多いです。
森脇さんは、気持ちで一点突破したのか迷ったことなどはありますか。

そのときの僕は働いていなかったので、仕事を経験してから独立するというパターンからは例外かもしれません。
もちろん一点突破していくタイプではありますが、やっぱり思考する時間は大切にしています。
どうやって実現させようかみたいな、正解か不正解を探すというよりは「正解にするためにどうするか」というのを考えるようにしていたので、それがよかったのかなと思います。
そこに営業力だったり、経営やディレクション、マーケットをどこにしようとかと考える癖があったので、それもよかったのかなと。
結局、知識ももちろん大切なんですけど、知識以外に自分は何を持っているかが重要で、いま思うと自分ももっと考えたら良かったなと思っています。
フリカレ「ビデオクエスト」について一言


森脇さんには「フリラボ」の姉妹サービス「フリカレ」のオンラインスクールで、「ビデオクエスト」の講師をしていただきます。
最後にビデオクエストについて森脇さんから、一言ご紹介いただければと思います。

フリカレビデオクエストは少人数制のオンラインスクールという形の講座ですが、僕自体が堅苦しくなくて、柔らかい雰囲気で楽しみながらやっていきたいと思ってます。
先生と生徒というよりは、これから同じ土台に立っていく人たちなので、相談しあえる環境といいますか、もちろん知識はお伝えしていきますし、将来的には一緒にお仕事をするかもしれない人たち、と思ってやっていきたいです。

講座が終わって受講生がさっそく仕事をとれば、もう同業者ですもんね。

知識だけではなくて、動画クリエイターになって一緒に仕事をするとか、他のフリーランスの方々と仕事をするというところで、挑戦できる環境でみなさんを後押しできる存在になりたいと思っています。そういう授業にしていきたいですね。

ありがとうございます!
これからも動画の需要はどんどん高まっていくと思いますので、ぜひ動画クリエイターを増やしていきましょう!