フォトグラファー新レイヤさんのプロフィール

LEiyAGraphy・人間ラブドール製造所 代表
【Undress the lust! なりたいは、つくれる!】を理念に写真だけではなく写真撮影を通してその人の運命が変わるキッカケを与えることを目的とし、人物撮影専門ながら多ジャンルで活躍している。
「撮ったその場でマイナス5キロ!」な撮影とヌードを得意とし、自身の容姿・体型・性格のコンプレックスを克服したい事がキッカケとなり、写真への苦手意識を忘れさせる「アトラクションのような撮影体験」という撮影スタイルを生み出し写真が苦手な人や自分に自信のない人からの圧倒的な支持を得ている。
2017年12月より世界初の逆転変身専門店「人間ラブドール製造所」を始動し、そのニッチさと体験のマニアックさから製造依頼や取材依頼が全国各地から押し寄せる。
新レイヤさんの実績・作品など
人間ラブドール製造所
URL:https://ningenlovedoll.com/



ライフワーク「KARMAN」
人間の業と輪廻転生、子宮回帰をテーマにした作品。


セミヌード作品

2 Primary photographers

BABYDOLLシーズンカタログ

マタニティ撮影


カメラマンを目指した経緯やキッカケはなんですか?


カメラは大学くらいの頃に趣味で撮ってました。最初に就いた仕事は美容師でしたね。
新レイヤさん:
この頃はまだ「カメラ楽しい!」って感じで、ほんとに素人で趣味で好きだから撮っていました。
高校の時に美容専門学校も通信教育で卒業していたので、仕事は美容師。昼間は美容師の仕事、夜に夜間大学に通うっていう生活をしていましたね。
当時はヘアサロン開業が夢だったので、美容師の仕事を続けていましたが、途中で皮膚アレルギーや体調を崩して働けなくなってしまって、挫折してしまったんですよね。
その後はいろんな職種を体験して、いろいろ好きなことをしまくりました。ただ大体長く続かなくて自暴自棄になって、もう実家に帰ろうかと思い悩んでいたんですよ。
でもその時、当時流行っていた「mixi」に趣味で撮った写真を上げてたんですよね。そしたら、マイミクさんの中にカメラマンの人がいて、「うちに来ないか?」って声かけられたのが、転機でした。それからです。
ーーmixi懐かしいですね。当時の最先端SNSですね。その当時は大学生?
その時は大学をやめて24歳くらい。フリーター期間でした。
美容師を辞めたのが22歳くらいのときで、そこからバーッといろんな仕事をしてたので、それが終わる転機でもありましたね。
ーー写真をSNSにアップしていたら興味を持ってもらえたと。それは大阪での話ですか?
地元が愛媛なので愛媛の頃の話です。
ブライダル系の撮影をしているスタジオ、というよりフリーランスカメラマン集団でした。
そこの師匠がかなり変わった人で、「カッコよければいい」っていうスタイルを持ってました。
普通の写真は別にいらないし、キャラ立ちして貰えてればいいからって、カッコいい写真をカッコいい格好でやろうっていう。
だから結構好き勝手にやらせてもらって、片田舎ではあるんですけど尖った集団の中で、自由にやらせて貰いました。
ーーブライダル、結婚式場のカメラマンって自由度が低そうなイメージがありますよね。
そうなんですよ。式場のカメラマンはめっちゃ自由度低いですよ。
ただそこは、結婚式場に入るんじゃなくて、Webでお客様から予約が来て全部持ち込み業者として会場に入るんです。
Web予約だけ受けて、結婚式会場にお客様のほうから「○○の写真撮影を持ち込めないのなら契約しません」って言っちゃうくらいでした。
ーーそれはすごいことですね。珍しい。それでカメラ業界に入ったと。


カメラマンの業界に入り、地元から大阪へ。色んな撮影にチャレンジしていく。
ーーそのブライダルの仕事には何年くらいいたんですか?
新レイヤさん:
いや言うても半年です!頚椎ヘルニアで光の速さで断念。めっちゃ短いんすよ(笑)
それからは大阪に引っ越したり、結婚してブランクもあったりで。大阪ではスタジオに行ったり、フリーカメラマンのアシスタントをしたり、カメラマンのお仕事をしていました。


新レイヤさん:
私、アーティスト写真が撮りたかったんですよ。
それでアーティスト写真のあるスタジオに入った初日、一番最初のお客さんがホストで。その次は風俗。
あれ〜おかしいなって思ってたら、うちはそういうスタジオだよって言われて、大阪こわいなって思いました(笑)入ったらやばい。
その後は、アパレル系のファッションの写真、ECサイトに掲載する写真を撮ったりしてました。
たまに、クライアントさんから請負でブライダルの仕事も撮ってました。請負会社からお仕事をもらう感じですね。
ーーそれはフリーランスのお仕事のやり方に近い感じですか?
料金も一律でくるので、まだ独立したって感じではなかったですね。
業務委託のような派遣社員のような……そんな立ち位置で自由度もめちゃくちゃ低いし、単価も安いし。でも少しでもお金になるならとやってました。
ーーなるほど、それから現在の独立するまでのフェーズはどのように作っていたんですか?

そのとき引っ越し準備があって、残金が10万円しかなかったんですよ。ほんと見切り発車というか、勢いで。
この10万でやれなければ、私は無理なんだろうと。どうしても駄目なら実家に帰ろうと決めて、大阪に残ってやってみることにしました。ガツガツと。


カメラマンとして独立する。貯金は10万円、崖っぷち状態からのフリーランスがスタート。
ーー実際、貯金が10万となったら辞めるか続けるか、判断が分かれるところだと思うんですけど、
どうやってなんとかしていきました?
新レイヤさん:
そうですね、ありがたいことに始めますって、言うと今までお世話になった周りの人たちが、「離婚おめでとう!」って言ってくれて、「じゃあ、これから頑張らなきゃね」「なんかあったら仕事回すね〜」とすごい励ましてくれたんですよね。
ただそれってスタートラインなんで、業務委託の単価の低い仕事ではあったんですけど、生活できる最低ラインはあったのでそれを残しつつ、新しい仕事を増やしていこうと思っていました。
思っていたんですけど……。
最初は営業方法とかよく分からないし、とりあえず口コミだけで広めてもらってました。
そうしたら、その口コミがどんどん広がっていって、今もほとんど営業は口コミですね。
ーー営業方法は多くのフリーランスが悩む部分ですね。
最初は紹介からの方も多いでしょうし。
ただほんとに、フリーランス1年目っていうのは請負仕事が多くて、一日何件受けても数万円にしかならない、そんな生活を每日していたので、1年目に体とか色々壊しました。
2年目からはさすがにやばい、と思って自分で仕事を作っていく方向に動いていくことにしていきました。今は請負の仕事はせずに、依頼は直接受けています。
人物専門という撮影スタイルはいつから確立していたのか?


新レイヤさん:
一回だけ仕事を増やしたくて「ブツ撮り」の仕事も受けたんですよね。それで、ブツをセットするじゃないですか。
ここに人間がいたら私は動かせるし、かわいい角度は分かっているんですけど、ブツ、かわいくないんですよ。
広義に商業目的の静物撮影全般を表す。(引用:Wikipedia)
ーーブツはなにも反応しない、と。笑
この子、どっからライトを当てても、角度を変えてみても……
「あ、アカン、私にはこの可愛さが分からへん!」となって、一回ブツ撮りをしたときに、自分に向いてないことが分かりましたね。私は人物が向いているんだな、という認識にもなりました。
ーー人を撮っているときの、可愛いさが引き出される瞬間の変化とかがいいんですかね。
そうですね。あとあの子たち動かない、沈黙……。多分得意な人は、ブツ撮りでのいい瞬間を引き出してくれると思うんです、その商品の一番きれいなところとか、売りたいところとか。
私にはそれが引き出せなくて、対象との相性ですかね。



レイヤさんの独自のサービスが生まれたキッカケは?


新レイヤさん:
みんなと同じサービスをやっても、価格競争しかなくて。元々ヌードとかも撮っているので、そっちの方面で動いたほうがいいのかなって。
今やっているサービスは2つあって、1つは「ブライダル」
カメラマン2人体制で撮るブライダル撮影で、「既存のブライダル撮影にこだわらず、結婚されるおふたりが好きな感じで撮ります」っていうスタイルです。
ロケ地とかも、撮影場所に許可を取りに行ったり、衣装もお客様の着たい服でコーディネートして撮ったり。
既存の結婚式場とかブライダル会社では、できない撮影のサービスです。

世界で一つだけのサービス「人間ラブドール製造所」
新レイヤさん:
去年末から始めた「人間ラブドール製造所」はいまのところ、世界で一つだけのサービスです。
物珍しいということから、話題性が多少あるんですね。
ただ話題性があるだけでは、すぐになくなってしまうんですけど、お客様やSNSから広まるように、サービスの内容を徹底的にマニアックにしました。
そうすると、体験一つ一つが3時間でギュッとつまったアトラクションのようになって、この経験がすごくよかったって広めて頂いたりしました。
また取材を受けても、これはもっと広めるべきだって取材をした記者さんが積極的に広めてくださったりしました。
ーーすごいですね。世界でたった一つ、ここだけって言えるのはかなり強いですね。
たぶん、形だけの真似ならできるけど、サービスの中身の真似は絶対できない、と思っています。
ーー多くの人は、いかにしてその領域にたどり着くかってところで悩んでいるでしょうね。
うん、そうですね、やりたいことをほんとに恥じらいなく進んでいく感じですね。
例えば、「ラブドール」ってとてもフェティッシュなイメージだし、そのイメージが自分についてきて、他の仕事が来なくなったらどうしようって思ったら、動けないですよね。
でも、やりたいことだからもしそれが理由で仕事が来なくなっても別にいいんです。
そういう気持ちで動いていると逆に「こういう事やってるけど、あら普通の写真も撮れるじゃん」って見られてくる。
今までは「一般的な撮影をしている人が、なんか面白そうな撮影をしている」ってルートだったんですけど、「なんか面白そうな撮影しているけど、一般的な撮影もしている」っていうルートにバランスが変わっていったのが、ちょっと面白いなって感じです。
ーーピカソ的な。印象の変化に似てますね。
たしかに。すごくわかりやすかったのが、名刺を渡すと、私の名刺は知らないけど、人間ラブドール製造所の方は「あ〜知ってます!どっかで見ました!」っていう現象が起きてきたのは、強いなって。
それだけで、ちょっと興奮してもらえるっていうのは、ありがたいです。
どこかで見たっていう認知度。


新レイヤさん:
そうなんですよ。
名前に負けないインパクトを与え続けていくっていうのは大事かなって。
ソフトと中身を一致させながら、マニアックとニッチな部分をずっとツンツンついていきたいですね。
フリーランスの失敗談は?


新レイヤさん:
逆に今は、働き方改革とか情報がいっぱいあるから、フリーランスになるのはラッキーな時代ではあるかもですけど。
私は大体ありとあらゆる失敗、それこそ安請けをして、これだけ働いて収入これだけ?って経験もしました。
あと、カメラマンの仕事って契約がほんとにザルなんですね。就職しても雇用保険や社会保険がついたことは一度もありません。
そして何かトラブルがあったときには、報酬を遥かに超えた多大な賠償責任が発生したりとか、ギャラの未払い、事務所に行ったらその会社がなくなってた!とか、ほんとにいろいろありました。
なので結構、酸いも甘いもやってきましたよ。
一緒に仕事を組む人とかも大事。
誰かと初めて仕事をする際、何でも一回やってみないとわからないと思っちゃう精神があって、決めつけないのはいいことだと思うんですけど、当たり外れの差が激しい。
すごくいい人と組めて仕事も良い結果が出るときと、地雷を踏んでしまって業務に支障が出まくってどうしようってときもあったり、人の選び方が下手なところはあります。
そういう人間的な失敗とか、自分の仕事の目指すべきところに一緒にいけるパートナーを探すのはなかなか……、今でもたまにやってしまった〜と思うこともありますね。
なので、人はすごく大事にしています。自分の仕事のスタイルをしっかり伝えていくことが大事なのかなと思っています。
ーー今は人間ラブドール製造所のイメージもあって、全然合わない人はそもそも来ないですもんね。
そうそう。
いろんなところで来る人を選んでいる感じですね。
本質はこっちだから、よろしくねって言っていけるので、ありがたいですね。
発信は大事。
新レイヤの仕事の流儀。仕事をする上で大切にしていること。



始めの段階で、空気を完全に掴んでから仕事をしやすくします。
新レイヤさん:
仕事仲間でもアシスタントちゃんにも、私はたぶん優しいです。なにか失敗をしようが、なにがあろうが責めることはないし、あるよね!ぐらいの感じです。
「この人が現場に入ると、物事がスムーズに進むぞ?」というのを意識してやっています。場の空気を掴んでしまうと、撮りたいものをリクエストしてくれるようになるんですよ。
せっかくお金を払ったのにイメージと違う、希望のものが仕上がらないという確率を減らせる。
この人に頼むと意見も言いやすいし、現場も楽しいしまたやりたい、って思わせるように。
場の空気を掴むことをまず、大事にしてます。
ーーカメラマンのプロというと、こういうこだわりで撮ってますって言う人が多いと思うのですが、レイヤさんはどうでしょうか?
私、けっこう技術は関係ないと思ってます。
収入に悩んでいた頃の方が技術を追い求めていて、「このスキルがないとこの価格では撮ってはいけないんだ」とか、先輩たちの価格を見て、「私たちより何年も上の先輩がこの価格でやってるなら下げないと」とか、とにかく技術ばかりに走っていたんです。
でもそもそも、カメラマンはカメラマンに仕事を依頼しないよね、って気がついて。カメラマン以外の方が受注を決めるわけじゃないですか。
じゃあ、私はこの技術がたくさんあるからこの価格です、っていうよりも、「私は場の雰囲気がこうで、撮り方はこうで、このスタイルなのでこの価格です」っていい切ってしまって、私に撮られたいと思ってもらうほうが、ターゲットになる人が集まってきやすくなりました。
場の空気の良さから、口コミを貰ってというスタイルですね。
ーー確かに、レイヤさんに写真を撮ってもらったという方が周りに多いですが、みんな口を揃えて楽しいって言ってますね。
新レイヤさん:
トータルで楽しい!と言ってくれる方がほとんどですね。
プロフィール撮影会イベントもたまに開催するんですけど、「あんなに汗かくプロフィール撮影ないぞ!」とか、あと「にぎやかすぎてうるさいよ!」って言われることもありましたね。
私の開催する撮影会の面白いところは、撮影会に来てくれる人はフリーランスの方とか、小規模のスタートアップ会社の社員さん方も多いんですけど、その場ですごく仲良くなって参加者同士で繋がりができるところ。その方たちが良かったよ、といろんな方に広めてくれたりしました。
そこから、じっくりと撮ってほしい方は単発でガッツリ、プロフィール撮影をしますね。
ーー写真にお金を払っているというより、写真とアトラクションのような体験がついてきて、サービスにお金を払ったという感じがありますね。
そうかもですね。私基本的に「お客様」扱いしないんですよ。
撮影会に来たら、みんな「参加者」。
「あなた達参加者だから楽しんでいってね」、なんなら手伝わせることもあるし、一緒に盛り上げてねって感じでやっていくと、みんな飽きることなく待たされることなく、「なんか楽しかった」っていう嬉しさや気持ちをお土産に持ち帰ってくれるんですね。
知らない人がシーンと待っている中でいっぱい撮るよりも、みんなでワイワイしている中で撮ったほうが、やっぱり表情も入れやすいので、楽しませるのは大事かなと思いますね。
ーー撮る人、撮られる人ではなくて、みんなで楽しむ感じなんですね。
他に何か撮影のこだわりとして言っておきたいことはありますか?

フォトグラファーとして仕事に使う道具は?
ーー聞き始めるとキリがないかもしれませんが、普段の仕事ではどんなカメラや道具を使っていますか?


新レイヤさん:
最低限のもので、自分の撮れる仕事・自分に来る仕事に合うレンズだけで最低3本でやっていますね。他に必要なときは、機材はレンタルしています。
最新機種とか、これがいいよって話題のものとか、一切私には必要ない。他のカメラマンからは、結構ディスられるけど……。
最低限、自分の仕事に必要なものだけ。だってそれ以外の仕事は来ないもの。
ーーカメラをよく知らない方向けにお聞きするんですが、なぜCanonなんでしょうか?
最初に働いたスタジオがCanonだったんですよ。カメラマンって、機材は自分で揃えなきゃいけないところが多いんですよ。
そうなると、アシスタントのすごい安い賃金の中でローンで買うわけです、レンズとボディを。
レンズを買ってしまうと、そのレンズを付け替えるようにしなければいけないのと、当時は「Canon」ってシェアがすごかったんで、現場で壊れてしまったとき他のカメラマンと差し替えることができるんですよ。
リスクヘッジも兼ねて、Canonにしたままってこともありますが、そして素のままのjpgの撮って出しは、Canonが一番人の肌の質感に近いかなと。
必ず編集する場合になると、Canonは選ばないかもしれませんが、たまに現場で撮って確認してそのままデータをお渡しすることがあるので、それを考えるとCanonです。
ーーなるほど、ちなみにレンズは言える範囲だとどんなものを揃えていますか?
「Canon EF24-105mm F4L IS USM」と「SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM」、あと「Canon EF70-200mmF2.8L IS II」っていう望遠レンズですね。
この望遠レンズはちょっと遠くをぼかすことができて、ポートレート写真とかで背景をめっちゃぼかしたいときに使っています。
ーー人物の撮影では背景をぼかす機会は多い感じですか?
背景をぼかすことは多いですね。
ビルのロゴとかいろいろ入っちゃうと、うるさいじゃないですか。
私は風景をあんまり撮らないので、全体がはっきり写ってる写真はあまり必要がなくて、
望遠で背景をふわっと撮ることが多いですかね。
普段のお仕事での撮影は、どんな場所でやっているんですか?
新レイヤさん:
基本は出張でいろんなところに、それこそオフィスやスタジオ、自宅だったりロケーションだったり、体一つで行きます。
ただ人間ラブドール製造所の場合は、コンセプトが「生活感とリアル」なので、自宅の一室を「ラブドールを持っているオーナーさんが住んでいる、うちの子の部屋」みたいなスタジオにしています。
ーーそれはレイヤさんの家がその状態ってことですか?
家の一室がその状態、って感じです。
ここオーナー住んでるから(笑)、別の人いるからって感じの一室をそのために作ってます。
ーーそれは手が込んでますね。
人間ラブドール製造所以外の撮影は、基本は外に行くことが多いんですね?
そうですね。基本はいろんなところに出向きます。
今年になって車を買ったんですけど、それまで3、40キロの機材を背負って電車で移動してて、着く頃には全身汗だくで、ハアハア言いながらいろんなことをやってたんです。
……ほんと車っていいですね!
ーーそうっすね、できれば車がいいですね。プロのカメラマンさんってカメラ以外にも三脚や道具が多いですもんね。
アレのおかげで、筋肉とか体力がついたのはありがたいんですけど、電車での人の目がすごく痛いんですよね。一人で3、4人分くらいのカサになるんで、満員電車は地獄です。
ーーまるで、バンドマンの機材を全部持ってる感じですもんね。
そうそう、たまにバンドマンと目があって「お前も大変だなって」(笑)
肉体労働ですね。

プライベートではどんなことをされていますか?
ーーレイヤさんのプライベートと言いますか、オフのときはどうされていますか?

作品撮りはヌードが多いので、大体人を脱がせているか、仲良い友達同士で「美容会」っていう、ネイルをしあったり、メイクをしあったり、普段気にかけない自分を気にかけてあげよう!っていうのをやってます。
あと最近になってやっと、展示を見に行くようになりました。
写真展とか絵の展示とか面白そうなイベントに参加したりしています。
ーープライベートも人に繋がるようなものをしたり、新しいものを取り入れるっていう感じですか?
新しいものを取り入れるか、お金になりそうなことしか考えてないですね(笑)
プライベートって言っていいのかどうか。
これをしたら、仕事のヒントになりそうだなとか、こんな場所にいったら面白そうだなっていうことばかりをしてますね。


お金を稼ぐこと。もっと有名にならなきゃという思いもある。
ーー昔は技術を追っていたけど、今は自分でサービスを作るという考えにシフトしていったと思うのですが、今の立場からお金を稼ぐにはどういうことをやったら良いとか、最近意識していることはありますか?
もっと有名にはならなきゃ、とは思いますね。
どんな形であれ名前がでていると、「初対面での私に対する態度が変わってきた空気感」を感じることがあって。
フリーランスだから余計に大事なのかなって思いますね。
初めましてという場面で、初めて会ったけど名刺を見て「あっどこかで見たことある」って思われると、それだけで相手の警戒心がとれるんですよ。それってすごく嬉しいことだなって。
そうなると、ちょっとでも知名度を上げていったほうが、お金を稼ぐにしてももちろんですが、いろんなことがスムーズにいくんじゃないかと思います。

レイヤさんの将来やりたいこと、これからの展望は?
ーー先程の話からも繋がると思うんですけど、将来やりたいことや挑戦したいことはありますか?

ーーアートだからこそ、受け入れられやすい海外、ですね。
新レイヤさん:
「フランスで仕事しなはれ」って言われることが最近増えてきて、「あ、フランスの方が変態に優しいんだ♥」ていう(笑)
日本だとイロモノの目で見られることが多いんですけど、海外だと「フェティッシュアートとしていいよ!」って情報を仕入れたので、海外進出も視野に入れてみようかと。
海外で受注とかできたら、めっちゃ楽しいかなって思ったりします。


「人間ラブドール製造所」を世界へ、アート体験をビジネスとして成功させる。

ーー他にも海外で仕事をしたい理由ってありますか?
そうですね……。今、「人間ラブドール製造所」をもっと伸ばしたいんですよね。
今はとてもニッチな人たちに知られているサービスなんですけど、これって体験を通した「自分が作品になるアート体験」なんですよね。
フェティッシュだけれど、「アート体験」。
日本ってアートがビジネスになることがめっちゃ少ないじゃないですか。でも、この体験自体がアートで、ビジネスとして成立しているんです。
他のアートのお仕事もこの形なら仕事になるかもって、考えられるアーティストの方が多いんじゃないかと。
そこの認知を広めていけたら、私の今後の仕事ももっとやりやすくなります。
ーー確かに、日本でアートが好きな方は海外に出てっちゃう。
そうなんです、アートだと単価が低いとか、努力して作品をつくってなんぼ、というみたいになりがち。
そうじゃなくて、ちゃんとお金を貰ってアートが成立していくんだよってことも、示していけたらと思っています。
「人間ラブドール製造所」に対する想い

ーー今日のインタビューで何度も出てきた「人間ラブドール製造所」について、レイヤさんの想いなどを教えてもらえますか?
新レイヤさん:
私は「LEiyAGraphy(レイヤグラフィー)」っていう屋号で、【Undress the lust!なりたいは、つくれる!】を理念にやっているんですけど、なりたいはつくれるって、自信がない人に発信している言葉なんです。
人間ラブドール製造所の理念は「体験を通して自分を愛でられる人間を製造する」、それは現状の自分に満足していない人たちの叶えたい気持ち・欲望であったり、「こんなことしたいけど、世間は受け入れてくれるかわからない」という気持ちを、「ウェルカム!」って言うこと、やっていくことが目的。
全部なりたいをつくっていく仕事、その人の願望を叶えていく仕事だと思っています。
ーーなるほど、体験を通して自分を愛せるキッカケにも繋がりますね。
人間ラブドール製造所って、すごくおもしろいんですけど「お客様が希望を言えない」んですよ。
我々が似合う感じに全部仕上げていくまで、お客様は鏡を一切見れないので、どんな服を着せられているのか、どんなメイクになっているのか、どんなウィッグになっているのかわからないんですよ。
ですけど、鏡で対面した時に驚いた笑顔や歓喜の声が多くて、撮影中は笑顔禁止でラブドールになりきるので会話もできないんですけど撮影が終わったらずっとニコニコしてて、そのままニコニコして帰っていきます。
そしてご帰宅後にラブレターのような感想をいただいたりする事も多々です。
ーーその体験は面白い!こだわりと理念が絶妙にマッチしていて、ほんとうに不思議なサービスですね。
希望は言えないのに、「自分が見たこと無い自分」に変身できたことにすごく満足していて。不思議なサービスですね。
最後に、これからフリーランスやカメラマンを目指す方へ、アドバイス。
ーーこれからフリーランスやカメラマンを目指す方に、将来の後輩に向けてメッセージを頂けますか?

写真は始めやすいツールだとは思いますが、カメラや機材って経費はめっちゃかかるので、ほんとに好きじゃないとできない仕事だと思います。
そして、流行に乗らないことをオススメします。流行の写真はみんなが真似するので、誰が撮っても一緒になる。
流行の写真しか撮らない人にはならないでほしいですね。それこそ価格競争にのまれます。
あとは自分が撮りたいものを追求していってほしいです。



インタビュー:所長カッシー(@strive)
執筆・編集:フルカワカナコ(@ringo_pota_jyu)
追記:イベントのお知らせ
新レイヤさんが「5/18なりたいはつくれる!女装子さん・MtFさん限定!もっと可愛く&悩める子羊救出大作戦」という摩訶不思議なイベントを大阪枚方にて開催されるそうです。ご興味ある方はぜひ!
https://ningenlovedoll.com/event